2023年 野並保育園B棟
施工 (株)北川組
野並保育園は、昭和45年に当時開発が進んでいた名古屋市天白区に開園しました。昭和47年、鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)3階建てのB棟が新築され、平成6年にはB棟を中心に据えて全国的にも先駆けて保育園とデイサービスの複合施設が完成し、名古屋市の平成7年都市景観賞を受賞しています。それ以降も、ニーズに応じて増改築や耐震改修を行い、現在に至っています。
長い年月にわたり地域の方々から愛され、大切にされてきた既存の園舎ですが、中心的なB棟が老朽化し、耐震性向上や2階からの避難経路の改善、保育関連備品の大規模な保管スペースの必要性が生じていました。これらの課題に向き合いながら、保育園の歴史と木のぬくもりに包まれた既存園舎の設計コンセプトに敬意を払いながら、2年半前から計画を進めてまいりました。また設計に並行して、国・市の補助金事業として補助金関連手続きのサポートも行ってまいりました。
最初に、近接する園の菜園敷地に仮園舎を建設し、建替え期間中も保育を続けるための場所を確保。また、園内の安全を確保するため作業ヤードと仮設通路を設置し、本園内に残る園舎と仮園舎を活用しながら、さらに約1年間建替え工事を行いました。
本建物は鉄骨造3階建(耐火建築物)。1・2階は4・5歳児さんの保育室、3階は大屋根の小屋裏空間を利用した会議室と倉庫で構成されています。3階倉庫は保育動線から切り離した屋外階段で利用することができます。隣棟2階からも避難できるように広いバルコニーを経由し園庭に降りられる屋外階段を新設しました。
旧B棟は長い間、保育園の中心的存在でした。既存園舎との調和と要求される新しい機能を丁寧に紐解きながら、昔からそこにあるような新園舎を仲間入りさせることができました。
4、8、9枚目 加斗タカオ写真事務所 撮影